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1月の徳目「和顔愛語(わげんあいご) 」

(この記事は、正光寺保育園各園の園だよりに掲載している住職からのお便り内容を転載しています)

今月の徳目は、ずばり私たちの保育方針である「和顔愛語(わげんあいご)」です。この言葉は、浄土三部経のひとつ『無量寿経』の中で、法蔵菩薩(ほうぞうぼさつ)が阿弥陀仏になるための修行で“常にあるべき姿”として示されています。

この「和顔愛語」のあとには「先意承問(せんいじょうもん)」という言葉が続きます。これは現代語訳で、柔和な表情や笑顔、そして優しく穏やかな言葉をもって相手と向き合うこと、さらには相手の事を慮って手を指しのべること(を大切にするべき)と説かれています。

このような態度には相応の心が伴うものです。私たちが心の保育を「和顔愛語の保育」と呼んでいる所以の1つがここにあります。

人間社会を生きることは、他者との交流を前提としています。他者との関わりで私たちは喜んだり、悲しんだり、怒ったり泣いたりします。仏教で説く人間界の八苦には、「愛別離苦(あいべつりく)=家族など愛する人と別れる苦しみ」「怨憎会苦(おんぞうえく)=憎しみや恨みをもつ相手と出会う苦しみ」という言葉がありますが、これはまさに人間関係そのものが喜びでもあれば憎しみでもあることを示しています。

このような人間社会で私たちが仲良く心穏やかに過ごしていくためには、「和顔愛語」の心持ちと行動がとても大切です。

まずは元気に挨拶をする、感謝の気持ちを伝える――それが第一歩です。そして、楽しいこともつらいことも、悲しいことも腹立たしいことも、皆で分かち合う――それが第二歩です。皆で喜怒哀楽を分かち合ったら、今度は楽しい気持ちは皆で二倍にも三倍にもして、悲しいことやつらいこと、腹立たしいことは皆で半分にして減らしていくにはどうすればよいか、共に考え行動していく――

極めて素朴なことですが、これを常に実践することのなんと難しいことか――忙しない日常をおくる私たち大人は、よくよく承知していることと思います。

だからこそ、正光寺保育園では和顔愛語の心持ちと行動が自然と身につくよう、まさに「和顔愛語の保育」と名付け、保育者が子どもたちに寄り添い、実践しているのです。

さて、今年度も残すところあと3ヶ月となりました。ここまでに築いてきた人間関係を土台とし、仲良くすることの大切さ、相手の事を慮ることの大切さ、自分で考えて行動することの大切さ、そうした「和顔愛語」の心持ちと行動を改めて再確認し、自身に関わる人たちとの関係をさらに深めていきたいものです。